日本脳炎

 

日本脳炎

 

 チュン・ホアン・クイ医師

 

 

 

日本脳炎は、神経系の障害を引き起こす脳炎です。アジアや太平洋西部の郊外で多く見られ、蚊の媒介によって日本脳炎ウィルスに感染することで、発症します。後遺症が残ったり、死に至ることもあります。


日本脳炎はウィルスを持つイエカ蚊に刺されることで、人間に感染する、農村部で発生しやすい、季節性の感染症です。亜熱帯地域では、夏から秋(3月‐10月)にかけて年間通してみられますが、特に6月‐9月がピークとなります。蚊は、特に夕方から夜間にかけて、活発に活動します。豚や水鳥にも感染しますが、人から人へは感染しません。


日本脳炎が多く見られる地域では、0-14歳の子供の10万人中5人に発症、15歳以上では10万人中0.6人に発症しています。発展途上国では、日本脳炎による死亡率は35%以上と高く、毎年約1万人の死亡ケースが、全世界で報告されています。

 
ベトナムにおける日本脳炎の状況

ベトナムにおいては、1952年に初めて日本脳炎発症のケースが報告されました。ベトナム全土で感染の可能性がありますが、米、果物、野菜の栽培、養豚が盛んな北部の農村部で特に感染率は高くなっています。過去には、年間2-3千件の脳炎の内、60%以上が日本脳炎だったという報告があります。現在は、ベトナム国内でも日本脳炎の予防接種が可能となっています。


近年では、日本脳炎ウィルスによる脳炎は10‐15%に留まっていると報告されています。2017年1月から現在まで、ベトナムの31県で325件の日本脳炎のケースが報告されており、その内5人が死亡しました。脳炎の発症率は、北部で66%、中央部で12%、高地部で18%となっており、その内15%が日本脳炎とされています。


症状

日本脳炎の症状は様々で、発熱、頭痛、嘔吐、筋肉痛などが見られます。これらの症状の後、意識障害や発作、麻痺、過呼吸、その他の脳神経症状が出ます。


対処法

日本脳炎には有効な抗ウィルス剤がなく、頭蓋内圧のコントロールや呼吸困難の回避、痙攣のコントロールなど、症状緩和の対処法が取られます。

 
予防

第一の感染予防は、蚊に刺されないことです。蚊は、夜間に活発に活動します。蚊が多い地域に住んでいる、または行く予定がある場合は、就寝の際には蚊帳の使用、そして、野外に外出際はディート成分配合の蚊除け剤の使用をしましょう。また、長袖・長ズボンを着用し、肌の露出を抑えることも効果的です。

 

また、蚊が繁殖しやすい環境を作らないことで、リスクを下げることが出来ます。防虫剤を散布する、ボウフラを食べてくれる魚を水田などに放し飼いする、水田の水を定期的に交換するなどの対策があります。

 
日本脳炎ワクチン
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日本脳炎ワクチンの予防接種を受けることにより、危篤な症状を避けることが可能です。日本脳炎ワクチンの予防接種の方法は、各国で異なります。ベトナムにおいては、1歳を過ぎてから、1-2週間の間隔で2回、そしてその1年後に1回の計3回の皮下注射を行います。 その後、15歳頃まで、3-4年に1回、追加接種を行います。


成人は、過去にワクチン接種をしていない場合は、小人のスケジュール同様、3回の接種が必要となります。過去に接種をしている場合は、追加接種のみ必要となります。


日本脳炎のワクチンの明確な有効期間は、はっきりしていません。17歳以上で、感染のリスクが高い地域への滞在予定があり、最後の接種が1年以上前の場合、追加接種が必要となります。ワクチンにも様々な種類があり、接種スケジュールは種類によって異なります。過去の予防接種歴などを医師に相談しましょう。

 

チュン・ホアン・クイ医師

小児科

 

クイ医師は、小児科医として10年の経験を持ち、ファミリーメディカルプラクティスには2014年から勤務しています。「今の子供達が世界の明日を担う」という言葉を常に意識し、診療にあたっています。

クイ医師は当クリニック唯一のベトナム人小児科医で、特に内科、感染症科、栄養学、予防接種にフォーカスしています。

クイ医師は、ベトナム・タイビン医科大学にて医学博士号を、ハノイ医科大学で小児科医学博士号を取得。また、オーストラリア・クイーンズランド工科大学にて、栄養学修士号を取得。

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